第29話 決勝戦
「全国高等学校女子コーンホール大会決勝戦です。会場は東京○○スポーツ会館。波乱のカードとなりました」
決勝戦だけネット配信される。
「去年の大会では2回戦敗退ながら強豪を破って来た埼玉代表宮原選手。対して大会初参加で決勝。元ソフトボールのエースピッチャーの東京代表の松山選手。この2人の対戦です」
「まずコーンホールという競技は……」
アナウンサーがコーンホールの紹介を始めた。
そして私と松山さんを映す。
いよいよ決勝戦だ。
観客はいわば無名選手同士なので少し盛り上がりを欠いている。
コイントスで私が先攻になった。
まずは穴の手前ギリギリのところに落として様子見だ。
松山さんがビーンバッグを掴む。
ラインの手前で踏み込み、投げる。
ビーンバッグはものすごいスピードを出し、私のブロックを弾いてボードの外に出した。
この投げ方。
この威力。
このスピード。
ソフトボールそのものじゃないか。
この人は違う。
私が今まで見てきたコーンホールの概念を全て崩した。
「早く投げてよ」
松山さんが言う。
私はたった1投で呆然と立ち尽くしていた。
スライドショットを投げるが右に逸れる。
松山さんがまたラインの手前で踏み込み、投げる。
穴に一直線に入った。
「あっと松山選手!ものすごいプレイだ」実況の声が聞こえる。
観客がどよめいている。
こんなのどうすればいい。
技とか戦略でなんとかなるものじゃないだろ。
とりあえず冷静になれ、私。
今は……1-4。
少しでも食らいつかねば。
私はスライドショットでようやく穴に入れた。
松山さんはまた一直線に入れる。
4投目も松山さんは一直線で穴に入れる。
私もスライドショットを入れなんとかこれ以上点差を広げられないようにした。
7-12。
しかし点差以上の衝撃だ。
どうすれば対抗出来る?
答えが出ないまま第2ラウンドが始まった。
松山さんが先攻で入れる。
私がスライドショットで穴に入れる。
結局このまま12-12。
打開策はないのか。
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