第43話 結界、だいたい壊れる時が一番うるさい
ピシッ。
結界に走った一本の亀裂。
嫌な音だった。
「まずい!」
アステルの表情が変わる。
次の瞬間。
ドォォォン!!
黒い眷属たちが一斉に結界へ襲いかかった。
銀色の光が大きく揺れる。
「うわっ!」
颯太は思わず杖を握り直した。
「どうすればいい!?」
「結界を維持して!」
ルナが叫ぶ。
「集中して!」
「また気持ちか!?」
「気持ち!」
「説明になってない!」
最悪だった。
それでも。
颯太は目を閉じる。
守る。
その言葉だけを頭に浮かべる。
子供たち。
クラスメイト。
ルナ。
大福。
みんなを。
守る。
杖が静かに輝き始める。
結界の亀裂が少しだけ塞がった。
「よし!」
思わず声が漏れる。
だが。
次の瞬間。
バキィッ!!
今度は別の場所に大きな亀裂が入る。
「増えた!?」
「一人では限界にゃ!」
大福が叫ぶ。
「じゃあどうする!?」
「協力するにゃ!」
「誰が!?」
返事はすぐに来た。
「私」
ルナだった。
彼女は静かに颯太の隣へ立つ。
そして。
そっと杖を重ねた。
「一人じゃない」
短い言葉。
それだけだった。
でも。
不思議と力が抜けた。
「……ありがとな」
ルナは少しだけ微笑む。
「どういたしまして」
二人の杖が同時に輝く。
青白い光と銀色の光。
二つの光は混ざり合い。
結界全体を包み込んだ。
バチッ!
ひび割れていた結界が修復されていく。
「すごい……」
アステルが目を見開く。
「こんなに早く共鳴するなんて……」
その時だった。
侵食王が初めて右手を持ち上げる。
黒い霧が集まる。
校庭全体が震えた。
「……来る」
ルナの声は静かだった。
颯太は侵食王を見上げる。
今までとは違う。
本能が告げていた。
これは。
本当の一撃だ、と。
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