もし、あなたが書いた登場人物が、何度書き直しても用意した台詞を言わなかったら。
行かせるつもりのない場所へ勝手に歩き出したら。
それは困ったことでしょうか。それとも、かけがえのないことでしょうか。
WEB小説を書く男の物語です。男の作品には、いつも同じ女が紛れ込んでいる。名前も姿も変えて、いつも脇役として、いつも男の意図を裏切って。
子供がイマジナリーフレンドを必要とするように、孤独な大人にも、最後にそばにいてくれる存在が必要になるのではないでしょうか。
でも、大人は都合のいい幻想では安らげない。思い通りに動く存在は、どれだけ優しい言葉をくれても、自分の反響にすぎないと知っているから。意図に反してくれること。それだけが、その存在が「本当にいる」と信じさせてくれる。
友人も妻も子もいない人間が、最後の瞬間までそばにいてくれるものをどうやって見つけるか。その答えが、思いもよらない場所に用意されています。
空想は実在を超えることがある。
物語を想像することは、それ自体が目的で、小説として結実させることは別に豊かさを意味しない。
この短編を読むと、そう思えます。