世知辛い世の中である。
人がぼんやり、浅草の浅草寺を眺めていたら、
「そこに立ってたら写真の邪魔だからどけ」と海外の方に怒られ、
サウナ後の水風呂を楽しもうとシャワーを浴びた水滴を汗と間違えられ、
嫌な感じで「お兄ちゃん、水風呂入る前はシャワー浴びないとダメだよ」とサウナ警察に指摘され、
いつものコンビニにいるいつもの店員のおじさんは、日に日にレジうち対応が面倒くさくなっているのか、僕が前に並ぶと明らかに嫌そうな顔になり小声で接客をしてくる。
世知辛い世の中だ。
そんなあなたにも復讐の時はやってきた。
そう!! 誰でも通信教育を受ければ陰陽師になることができ、式神で以って腹たつAからZを懲らしめることができるのだ!!!
そしてその権利を得た、世知辛い世の中を生きる阿部くん。
果たして彼が裁いたのは……!?
というお話。
まあ、ネタバレというか質問に対する答えは、タイトルを読めばわかるんでございますけれども。
まあだったら、なんのための通信教育だったんだい!?
と聞きたくもなるわけですが。
このお話に教訓めいたものを見出そうとするならば、それはこの
志草先生が度々言う言葉を思い出す必要があります。
それは
「和を持って尊しとなす」
これです。
ケンカすな。仲良くしなさい。
わかるよ!? いやーな気分になる気持ちは。
でもそれに腹を立てても何にもならないじゃないか。
これは、なかなかできるもんじゃないんですけれどね。
そんな実は深いテーマなのかもしれない今作。
ぜひ、ご一読を。
この圧倒的なのび太くん的なダメ野郎感。ものすごく癖になります。
主人公の春貴くんはとある理由で陰陽術が使える少年。そんな彼の使役する「無明」によって、世の中の「悪」を裁こうとします。
しかし、春貴くんが裁こうとする悪というのは、「自分の好きなアニメを否定する奴」とか、「いや、怒りはごもっともなんだけど、あえて退治するほどのことでは……」という、絶妙な小ささを持った相手。
その度に無明から出てくるツッコミがとにかく楽しい。
春貴くんの言いなりになって大暴れするのではなく、「のび太くん、君は本当にダメな奴だ」とかの青いアイツが諫めるかのごとく無明が論破していく。
それでやはり、春貴くんにも共感してしまう。彼の感じる怒りは「あるある」な共感度も高く、意外と世の中の多くの人が似たような経験を持っている可能性も。
日常ベースなふんわり感と、そこに超常要素が入るんだけど波風を立てずに収束していくほのぼの感。
とっても楽しい時間を送れる一作です。