雪深い山村へ戻ってきた男を通して、閉塞感と腐敗した人間関係を描く、暗く重たい作品です。赤錆、硫黄、灯油、雪の冷たさといった描写が濃く、読んでいるだけでその土地の湿った空気や逃げ場のなさが伝わってきます。主人公が少しずつ村の空気に呑まれていく流れにも、不穏な引力があります。明るい物語ではありませんが、地方ノワール、退廃的な人間ドラマ、静かに壊れていく心理描写が好きな方におすすめです。