黒龍に踏み潰されそうになっていた白蛇を、迷わず助けた櫻花。
その結果、法力は半分になり、余命十年の呪いまでかけられてしまいます。
けれど櫻花は言うのです。
「私は間違っていないので、謝りません」と、きっぱり笑顔で。
なぜなら彼の胸の内には、決して曲げない「正しさ」が息づいているから。
でも普段の彼は、礼儀正しく、心優しい地仙です。
読んでいて思い出したのは、老子の「上善如水」という言葉。
櫻花はまさに、すべてを潤す恵みの水のような人。やわらかく、誰にでも分け隔てなく優しい。
けれどその優しさは弱さではなく、長い時間をかけて岩をも穿つ水滴のような、静かで揺るぎない強さを秘めているのです。
そんな彼のもとに現れるのが、白髪の青年・肖月。
助けられた白蛇の化身である彼の「命を救われた恩を返したい、櫻花を生き永らえさせたい」という一途な思いに、読者はきっと共感するはず。
なぜなら、櫻花が魅力的な人物だから。「助けたい」と願う肖月の気持ちが、よくわかるのです。
このふたりの関係は、さりげなく寄り添い、さりげなく思い合っている――
さわやかなブロマンスで、とても心地よいです。
実は私は、この作品の改稿前を拝読させていただいていて、櫻花の過去を知っています。
だからこそ彼の言動の裏にある想いを最初から想像しながら読むことができて、より一層胸に迫るものがありました。
でも、前作をご存じない方にとっては、櫻花の過去こそが物語に秘められた大きな謎。
「この人は、いったい何を抱えているのだろう」――そんな問いに導かれて、きっとどんどん引き込まれていくと思います。
功徳を積んで天仙となり、呪いを断ち切ることはできるのか?
――天界を追放された花神が、再び天に還るまでの物語。
美しい中華ファンタジーの世界を、ぜひ味わってください!