第14話 徒歩50歩っつ!



朝10時。アプリが鳴る。ピック先:おなじみのゴーストレストラン。


「またここか……!」


エレベーターで5階へ。いつもの受付嬢と無言の目配せだけで通じる関係性。オーダー番号を伝えると、黙って弁当を渡してくれる。もはや夫婦。


地図を見る。ドロップ先:向かいのビル。


……


いや、向かいって、ほんとに“向かい”だよ?


バッグを背負い直し、エレベーターを降り、外に出る。


目の前のマンションのオートロックを抜けて……チャイムを鳴らして、商品を渡す。


「あ、どうもー」


……いやいやいや。


配達時間:1分。歩数:たぶん50歩。


帰り道、自分に問いかけた。


「今のって……“配達”って呼んでいいのか?」「俺、ウーバーっていうか……ただの通行人じゃね?」


報酬:302円労力:限りなくゼロ達成感:……なんかモヤる


でも、いいのよ。これが、俺の仕事なの。50歩でも、人生の一歩。

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