1話目から「あ、好きだ」と思いました!
数字やラベルでものを見ることになれると、いつの間にか、自分自身もまた人間でなくなってしまうような苦しい感覚はひょっとしたら現代人なら誰でもある事かも知れなくて、京子さんの疲れてしまった感じや「逃げた」という罪悪感にも共感できました。
凄く救われるのは「半額」というラベル(シール)を貼る、その意味が反転していくこと。
半額=半分の価値ではなく、京子さんの気持ちを添えて誰かの温もりに変わっていくことや、その中で京子さん自身も救われていくのを読んでいて感じました。
「見えてしまうようになった」からこそできること、その大人な距離感の優しさが沁みます。
出会えて良かった作品です。
「私もこういう話が書きたかった」という若干の嫉妬とそれ以上の最大の敬意を込めてレビューさせて頂きました。
本当に書いてくださってありがとうございます!
スーパーマルヨシで働く京子とその周囲の人々が生みだす何処にでもある大切な日常を切り取った作品です。特筆すべき点は人々の心の動きや行動が実に繊細に描かれていることにあります。踏み込み過ぎず、分かった気にならない。そんな絶妙な関係性から生れるささやかながらにもリアリティのある世界観が実に心地よく、優しいと感じることができます。登場人物はみな、決して個性的なキャラクターを持っているわけではありません。しかし、この物語の中で確実に彼らは生きています。その思考や人間性が言葉のや行動に現れており、確実な存在感を生み出すことに成功しています。きっとこれは作者様の繊細な感性によって生み出されたものなのでしょう。
一貫してこの物語は狭間にあるといえます。決して派手ではないものの確かな存在感がある物語であり、手を差し伸べながらも不用意に近づきすぎない計算された優しさを随所に見ることができます。人々の複雑な思いを複雑なままに、しかし、文章の上では簡潔に表しています。過不足なく書かれた人々の営みが染み渡るようにして伝わってくる優しい物語であると感じました。