花の名が物語を紡いできますそれは美しくも少し儚げな雰囲気その背景と過去においてのつながりを花が橋渡していく…
かつての傷からヴェールを抱えて泣いていた夜を、彼は言葉ではなく「発明」と「花」で塗り替えてくれました。繊細な筆致で描かれる水路の街の情景や、指先に残る油の染み、そしてグラスの中に咲く氷晶華……。五感に訴えかけるような美しい描写の数々に、自分もその場にいるような心地よい錯覚を覚えました。全4話という短編ながら、長編一本を読み終えたような深い満足感があります。読後、心に青いミオソティスが一輪咲いたような、温かな余韻に包まれました。