テンプレ作品について語りながら、実は「読者とは何を求めて物語を読むのか」を語っているエッセイだと感じました。
テンプレ作品は型にはめる作業だと思われがちですが、本稿を読むとむしろ逆で、型があるからこそ読者の期待が明確になり、その期待を裏切らず、かといって退屈もさせないという難しさが見えてきます。
特に「目的地を知った乗客」という比喩が秀逸です。読者は行き先を知らない旅を楽しんでいるのではなく、行き先を知っているからこそ、その道中に厳しくなる。テンプレ作品の難しさをこれほど簡潔に表現した説明はなかなかありません。
AIが標準ルートを提示できる時代になっても、読者が求めているのは地図そのものではなく旅の体験なのでしょう。目的地が同じでも、また乗りたいと思わせる運転は別の技術です。
そう考えると、テンプレ作家の仕事は工場のライン作業ではなく、高度な接客業に近いのかもしれません。