怒りと愛が、分かれないまま同居しているそういう感情を、そのまま置いていく作品です。同じものが二度出てくる場面があります。最初と後とで、そこに漂う空気がまるで違うその間に何があったかは語られないのに、静かに伝わる。読み終えても、すぐに言葉にならない時間があります。喪失がどんな形で人の中に残るのか、割り切れない感情をどのように受け止めるか――そういうものに触れたい人に届く作品です。