海に閉ざされた小さな村には、かつて遭難したはずの漁師たちが「還った者」として暮らしていた。
編集部に届いた封書をきっかけに、記者として村を訪れた「私」は、宿屋の老女から「この村に入るなら、守ってもらう約束がある」と聞かされる──。
「ざざん、ざざん」
「ぽたり、ぽたり」
反復する擬音や、リズムのある文章に引き込まれ、一気に読んでしまいました。
生理的な嫌悪感を煽られるような、ぞわりとする筆致が印象的です。
生活と地続きにあるような気持ち悪さと、逃げ場のない圧迫感に、じわじわ絡め取られていくような怖さがありました。
波の音がいつまでも引かないような読後感が残る作品です。