村に水が降らす、「生贄」として山神に捧げられた孤独な少女と、人々に恐れられる孤独な「姫神」が出会うことからはじまります。
最後まで、気持ちよく読める心温まる和風ファンタジー。
この物語の最大の魅力は、静かで美しい世界観と、少しずつ変化していく二人の距離感なのでしょう。
本来なら絶望の儀式であるはずの「生贄」が、お互いの孤独を埋めるための救いのキッカケとなり、不器用ながらも歩み寄っていく過程が非常に丁寧に描かて秀逸な作品です。
おどろおどろしい伝承の裏にある神の本当の素顔や、過酷な運命に翻弄されながらも芯の強さを見せるヒロインの姿に、読んでいて思わず胸が熱くなります。
単なる恋愛ものではなく、神と人という異なる存在が織りなす「絆」の物語。
和風伝奇の重厚な雰囲気を残しつつも、読後感はどこか救われるような、優しく切ない作品です。