異世界転移モノでありながら、主人公・了の視点が徹底して『乗り気じゃない中年男性』に固定されているのが非常に愉快で、読んでいてずっと笑える。
親父の遺書から始まる不条理な連鎖、外務省が職場に乗り込んでくる展開、喪服のまま骨壷を抱えて異大陸に向かうハメになる理不尽さ。それらが全てクールなトーンで淡々と描かれているのに、ユーモアが確実に滲み出てくる筆力は見事。
歴史・政治・宗教・経済・ジェンダー観まで一貫した内部論理で構築された大陸を、何も知らない運び屋の中年の目線でツッコミながら解体していくスタイルは、世界観の説明を苦にさせない読み口の良さを生んでいる。