巨大なピラミッドとファラオの時代。その華やかな歴史の裏側で、石を運び、家族を支えながら生きる少年セスの姿が印象に残ります。
14歳の石工見習いという立場から、遺跡に隠された謎へ少しずつ近づいていく展開が面白いです。古代エジプトの生活や職人たちの仕事が丁寧に描かれているので、歴史の教科書では見えない「そこで暮らしていた人々」の姿が感じられます。
特に、家族との関係や父の失踪、姉や弟との日常など、遺跡の謎だけではなくセス自身の人生が物語の軸になっているところが魅力的。
そして、王のために造られた巨大建造物の中に潜む「あるはずのないもの」。調査隊とともに地下へ進むにつれて、歴史小説から本格的な遺跡ミステリーへと物語が広がっていきます。
歴史に名を残すのは王たちでも、その巨大な歴史を実際に作ったのは名もなき人々。そんな世界で、一人の少年が何を見つけ、何を残すのか。
古代エジプトのリアリティと、少年の成長、そして巨大遺跡の謎を同時に楽しめる作品です。