戦場で救われた少女ダリアと、敗戦により辺境へ左遷された剣士レド。
二人が湖畔の里で少しずつ“親子”になっていく過程は、静かで温かく、戦記の中に確かな希望を灯している。
レドがかつて愛した人の忘れ形見であるダリアを引き取る決断には、後悔と優しさが滲み、彼女が日々を取り戻していく姿は胸に沁みる。
だが、穏やかな時間の裏には世界の命運を揺るがす秘密が潜み、平穏がいつまでも続くとは限らないという緊張感も物語を支えている。
戦災孤児と落ちた英雄が寄り添いながら家族になっていく──
その絆がどこへ向かうのかを見守りたくなる、優しさと運命が交錯する戦記ファンタジー。
災厄の業火に包まれ、帝国軍の蹂躙に直面したレドは、英雄にはならなかった。代わりに、民を守った。
抵抗が無力だったことは、言い訳かもしれない。けれど、それもまた事実だった。
英雄になるのは、きっかけがあるからではない。いつでもその準備ができているからだ。
しかし今のレドには、その覚悟がまだない。
自ら救った少女を連れ、レドは前線を離れた。安らぎがありそうに見える後方へと。
だが、その身分ゆえに——彼の日常も、彼が心に描く願いも、そう簡単には訪れない。
遠大な理想は、現実が立ち止まっても、それを追い求める力を失ったりはしない。
周囲から大きな期待を背負い、父の使命を継いだレドは——
その優しさで、少女たちに幸せを届ける。