実体験をもとにした怪奇現象を、ただ怖い話として語るだけでなく、「何が起きたのか」を読み手にも考えさせる構成が印象的な作品でした。
冒頭から、作者自身である死神Y様が語り手として登場することで、体験談らしい生々しさがあります。けれど同時に、神崎琉區さんとの電話でのやり取りが入ることで、ただ怯えるだけではなく、謎を一つずつ追っていく面白さも生まれていました。
特に良かったのは、「小さな違和感でも見落としてはならない」という前書きの言葉です。読者も自然と、何気ない一文や会話の中に手がかりがあるのではないかと注意して読みたくなります。
怖さだけでなく、会話のテンポや少しユーモラスなやり取りもあり、読みやすさがあるところも魅力でした。安心できる相手に相談したはずなのに、最後に不穏な一文が置かれることで、一気に先が気になる展開になっています。
意味がわかった時に、最初の違和感がどうつながるのか。
怪奇現象の正体を確かめたくなる、不思議で奇妙な体験談でした。