第18話 「銭湯に行くわよ!」
携帯電話という地球文明に完全に染まり始めたネーク。
そんなある日の営業終了後。
「はぁ〜……今日も疲れたわねぇ……」
ネークはカウンターに突っ伏していた。
「お前ほとんどガラケー見てただけだろ」
蛇丸が皿を洗いながら呆れる。
「精神的に疲れたのよ!」
「便利な言葉だなそれ……」
すると和春が、にこにこしながら一枚の紙を差し出した。
「じゃーん♪」
「ん?」
ネークが顔を上げる。
「商店街の福引きで、銭湯の無料券当たったのよ〜」
「戦闘!?」
ネークが首を傾げた。
「お前の考えてることはわかってるぞ...」
蛇丸が説明する。
「ほぉ〜……地球には店で風呂に入る文化があるのね」
「まぁそんな感じだな」
和春は笑顔で頷く。
「たまにはみんなで疲れ取りに行きましょ〜」
数十分後。
ネーク、蛇丸、トータ、和春の三人は指宿の銭湯へ来ていた。
店の看板には大きく『指宿こころの湯』と書かれている。
「おおぉ〜……」
「でっかい建物ね...」
トータがぼんやり見上げる。
「なんかぁ……ぽかぽかしてますぅ……」
「まだ入ってないだろ」
蛇丸がツッコむ。
ネークはチケットの概要をじっと見つめていた。
「共同入浴施設……」
真剣な顔で呟く。
「地球人、警戒心なさすぎじゃない?」
「ただの銭湯だって」
「敵に襲われたらどうするのよ!」
「そんな命懸けで風呂入る場所じゃねぇから」
店内へ入ると、番台のおばちゃんが笑顔で迎えてくれた。
「あら〜、可愛い子たちねぇ」
「ふふん♪」
ネークが得意げになる。
「それにしても、すごい尻尾ねぇ〜」
「え?」
ネークが固まる。
「……見えてたの?」
「今さら!?」
蛇丸が叫んだ。
するとトータが、ゆっくり牛乳瓶を見つめていた。
「おおぉ……瓶ですぅ……」
「そこ感動するとこか?」
「なんだか高級感ありますねぇ〜……」
トータは既にマイペース全開だった。
「早速入るわよ!」
ネークは青い「ゆ」と書かれた方に直行する
「まてぇい!」
蛇丸は急いでネークの腕を掴む
「お前はこっちだ!」
蛇丸は赤い「ゆ」と書かれた方に指を指す
「私人外だからどうでもいいでしょ!」
「そういう問題じゃないんだよ!」
そして脱衣所。
「うわっ、暑っ!?」
ネークが驚く。
「銭湯ってこういうものよ。」
「和春、人間界の風呂ってこんなに蒸し暑いの!?」
「これが普通よ」
ネークは周囲をきょろきょろ見回す。
「……本当に脱ぐの?」
「脱がないとお風呂は入れないでしょ」
「防御力ゼロじゃない!」
「ゲームじゃないんだからそういうの気にしないでいいわ」
数分後。
「ふぅ……」
ネークは湯船へゆっくり浸かった。
その瞬間。
「……おぉ」
思わず声が漏れる。
「あったかいわね……」
「でしょ?」
和春も肩まで浸かる。
トータは既に半分寝ていた。
「ふにゃぁ〜……」
「寝た!?」
「トータちゃん、お風呂で寝るのは危険よ...」
ネークは周囲を見回した。
湯気。
静かな水音。
のんびりした空気。
「……ここに住みたいわね」
「多分、すぐ飽きると思うけど」
その時だった。
「熱っ!?」
ネークが飛び上がる。
「このお湯熱すぎるわよ!」
「そうかしら?」
「蛇族は温度に敏感なのよ!」
「初耳だわ」
さらに。
「和春!」
「何?」
「この壁の向こうに蛇丸がいるのかしら...蛇丸ー!!」
一方その頃。男湯
蛇丸ー!!とネークの声が壁越しに聞こえてくる
「どこまでも、落ち着きないやつだな。」
女湯
ネーク達は露天風呂に来ていた
「おお~でっかいお風呂ね!」
「なんだかぁ...落ち着く場所ですぅ..」
トータは体を甲羅に収め露天風呂で完全に眠っていた。
「すぅ〜……すぅ〜……」
「あらぁ、意外といい構図ね」
石と亀の甲羅がその風景に合っていた。
他の露天風呂に入っていた客も
「縁起がいいねぇ...」
「溺れてないかい?」
「だいぼうぶでひゅ〜……」
全然大丈夫そうじゃなかった。
するとネークの目に、ある部屋が入る。
『サウナ』
「なにあれ」
「簡単に言うとすごく暑い部屋よ」
「意味分かんないわね」
しかし。
数分後。
「ふっ……」
ネークはサウナの中にいた。
「この程度の熱気……支配者である私にはぬるいわね……!」
「私は熱くなってきたわ出るわね……」
だが十分後。
「……こ、この程度の暑さ砂漠を旅してきた私にはどうってこと...」
バタンッ
「ネーク様ぁ!?」
あまりの暑さに倒れてしまったらしい
ネークは真っ赤な顔で外へ飛び出した。
水風呂の水でなんとか意識を戻したネーク
「は!...死ぬかと思ったわ!」
「大丈夫?ネークちゃん」
「急に倒れてびっくりしましたぁ...」
その後。
風呂上がり。
三人は休憩スペースで牛乳を飲んでいた。
「ぷはぁ〜……」
ネークが満足そうに息を吐く。
「風呂の後の牛乳って最高ね……」
「完全に地球満喫してるな」
トータは畳の上でごろごろしていた。
「眠いですぅ〜……」
「お前ずっとそれだな」
ネークは窓の外を見つめる。
夜風が気持ちよかった。
「……こういう日も悪くないわね」
少しだけ優しい声だった。
蛇丸はそんなネークを見て、小さく笑う。
「地球侵略どうしたんだよ」
「明日から本気出すわ!」
「絶対出さねぇやつだ」
すると。
ネークが突然立ち上がった。
「……って、ちょっと待ちなさい!」
「ん?」
「尻尾どうやって乾かすのよこれ!?」
長い蛇の尻尾が、びしょ濡れだった。
「知らねぇよ!?」
「トータぁ! タオル持ってきなさい!」
「もう動けませぇん〜……」
「役立たず!」
銭湯中に騒がしい声が響く。
そして今日もまた――。
最強の蛇による地球侵略は。
地球のお風呂文化によって、ほんの少し癒やされていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます