決められたあらすじに沿って物語を書き、その筆致の違いを楽しむという企画への参加作品。
作者様は近況ノートにて、このお題を以下のように扱うと解説しています。
・ストーリー自体はとことん普通にする
(奇をてらうと筆致を楽しむというコンセプトから遠ざかる)
・同じ事象を複数の角度から書く
・ただし回を重ねるごとに新しい情報を足して退屈にならないようにする
まず、お題に対しての解釈を固め、方向性を決めたうえで執筆に入られたところ、
作者様のその執筆に対する真摯さとクレバーさに目を惹かれました。
物語は作者様の方針通り5つのパートに分かれ、あるパートは脚本のように描写を最小限に、あるパートではふんだんな解釈を饒舌に語り、あるパートではまるで生まれたての無垢な感性のように手ざわりのままに…、と、ひとつの作品の中で筆致の違いを表現されています。
そのなかで、作者様の意図通り、読み進めるに従って春香と颯太の気持ちの機微が明らかになってゆく構成。
たいへん実験的で多角的な作品です。
この一作品で企画の色どりが楽しめるようでした。
それにしてもドアベルくん、人生(ベル生?)一周目がはじまったばかりでしょうか、
かわいいですね…。