負けを認めない。謝らない。
そういう生き方でしか自分を保てない人間を、この物語は淡々と描いていきます。
『阿Q正伝』をもじったタイトルではあるものの、中心にいるのは、滑稽で居場所のない女性・秋井です。
描かれている姿はどこか滑稽なのに、読んでいるうちにだんだん笑えなくなってきます。
なぜなら、この作品に出てくるのは“特別に悪い人”ではなく、現実のどこかに本当にいそうな人たちだからです。
そして、秋井を見下して安心する周囲の人々にも、どこか覚えがある。
淡々とした語り口は明治〜昭和初期文学のような雰囲気があり、とても読みやすいです。派手な展開ではなく、人間の小さな虚勢や惨めさがしみ込んできます。
読み終わったあと、「かわいそうだった」だけでは終わらせてくれない作品でした。