好きな低音声優さん、いらっしゃいますか?
頭に浮かべた低音声優さんにぴったりの、「犬」が出てくる怪異譚が本短編、送り犬です。
「山」で犬がついてきたら転んではいけない──
亡き祖母の話を思い出していた主人公の少女は、不意に、現世ではない「山」に紛れこんでしまう。
黒い毛、金の目の犬曰く、「転べば食う」。
初めは怖い。
だが、少女は祖母から聞いていた存在と会話を重ねていく。
道行きが進むにつれ、行間からは少しずつ優しさが漂い始める。
名前を言うこと。
名前を覚えること。
名前を呼んでもらうこと。
その名前には、どんな意味があるのか。
そんな普遍的なテーマが二人の会話に温かく包まれおり、ラストシーンには、たまらぬ優しさと切なさが残った。