本作は、凡人アイドル・火野灯理と、天才アイドル・星川風香の出会いから始まる、泥臭くも輝かしい王道成り上がりストーリーである。
火野灯理は、かつてのユニットを失い、それでもなお舞台にしがみついてきた「売れ残り」のアイドルだ。対する星川風香は、天賦の才と圧倒的な身体能力を持つ、まさしく光そのもののような少女である。この二人がユニットを組むところから物語は動き出すが、本作の面白さは単純な「凡人が天才に追いつく話」に留まらない。灯理は風香に焼かれ、風香は灯理に照らされる。互いの存在が痛みとなり、救いとなり、やがて観客の心にまで火を移していく。
特筆すべきは、灯理の「炎属性」が単なる設定や比喩に留まらず、地の文そのものに染み込んでいる点である。灰、種火、炉、烈火――各話の言葉選びが、彼女の心の燃焼と呼応している。灯理はスポットライトを浴びて輝く星ではない。だが、火である。自分を燃やし、周囲を温め、時に焼き、そして誰かの胸に新しい火を灯す存在なのだ。
私はアイドルとは、自らの輝きによって人の心を動かす希望の存在だと思っている。本作はその一点に、とても誠実である。才能の有無、努力の価値、挫折の痛み。それらをすべてステージの熱へと変えていく終盤の展開は圧巻だ。
これは、星になれなかった石ころが、それでも輝きたいと願い続ける物語である。そして、その願いが確かに誰かの光になる物語である。