自主企画へのご参加ありがとうございます。
人生をやり直す物語でありながら、都合よく全部が報われる話にしていないところが良かったです。
実里が中学時代に戻っても、孤立や劣等感が簡単には消えない。
それどころか、自分がされた痛みだけではなく、自分も誰かを傷つける側にいたことまで見えてくる流れがかなり人間臭かったです。
構成としても、過去を変える話というより、「同じ自分のまま、どう選び直すか」に重心があって、そこが好きでした。
翔太との関係も、ただ恋愛として甘く進むのではなく、頼ること、離れること、もう一度選ぶことが丁寧に積み重なっていたと思います。
文章は内面の描写が多めですが、そのぶん実里の息苦しさや、自己肯定感の低さがじわじわ伝わってきました。
関西弁の会話も自然で、友人たちとのやり取りが入ることで重くなりすぎないのも良かったです。
やり直せたら幸せになれる、ではなく。
やり直しても残る痛みを抱えたまま、それでも今を選ぶ。
タイトルの意味が、最後まで読むと少し違って見える作品でした。