工場勤務一筋のベテラン作業員である大澤。
しかし近頃、なぜか彼に仕事上のミスが続くようになります。
ついにはパワハラ気質の上司から退職を勧告され、自身もそれを加齢による衰えだと受け止めます。
せめて、工場で一日でも長く働き続けたい。
その思いを胸に彼は真摯に仕事へ向き合うのです。
本作は、大澤の周囲で起こる奇妙な出来事を描いた物語です。
ジャンルとしてはホラーに分類されます。
しかし、不思議なことに作品全体の空気はどこか穏やかで温かいのです。
特に印象的なのが、タイトルにもなっている〝ウインクする機械〟の存在です。
ここには現実を超えた、ファンタジーの魅力があります。
設備や機械たちが、まるでカートゥーン・アニメのキャラクターのように生き生きと動き、感情を持っているかのような印象さえ与えてくれるのです。
毎日欠かさず機械を磨き、感謝の言葉をかけ続けてきた主人公。
その誠実な積み重ねが、思わぬ形で報われる展開は、読む者の胸を熱くなることでしょう。
もちろんホラー作品らしく、不気味な現象や少し怖い場面もあります。
しかし恐怖一辺倒の物語ではないのです。
設備を愛し、設備からも愛された大澤の推されっぷりが実に微笑ましいのです。
本作は推しを気遣う怪異と人とのひとときの触れ合いを描いた心温まる工場ファンタジーです。
ホラーが苦手な方にも、ぜひ手に取っていただきたい作品です。