近未来を舞台にした家族ドラマをベースに日本的な優しさと、誰もがいつかは直面する『老いと別れ』という普遍的なテーマにスポットを当てた作品です。
主人公の智紀は、決して冷たい人間ではありません。むしろ祖母を大切に想い、過去の喪失に傷ついているからこそ、アンドロイドのハジメに対して素直になれないリアルな若者として描かれています。そんな彼がハジメの『役割』に関するある言葉をきっかけに自らの未熟さを受け入れ、一歩前へ踏み出すラストシーンには胸が熱くなりました。
また作中に登場するほうじ茶や味噌汁の描写がとても丁寧に描かれており、読み進めるうちに五感が刺激され、自分の田舎や大切な家族の顔が自然と浮かんでくるような温かさがあります。
『人と人が繋がり、誰かの重石になること』の意味をこれほど優しく教えてくれる作品にはなかなか出会えないのではないでしょうか。
読後には、大切な人に連絡を取りたくなる、そんな素晴らしい名作です。
短編ながらも深い余韻に浸りたいすべての人におすすめします。
こちらの作品に触れられた事を心より幸運だ、と感じました。
AIという言葉よりも前、人工知能という単語が創作の中で行き交う時代にもアンドロイドという機械が人を助け、導いてくれる。
或いは人の世に失望し、自らの手で私たちを管理するディストピアが「近未来」の話として多くありました。
AIは兎角その進化が著しく、開発者すらも正確には測れていないのでは、と個人的に感じます。
そのうちに一家に一台アンドロイドが、なんて時代が来たとすれば今回の「家族の在り方」は
正に家族の最愛の形を視せてくれた様に感じました。
特に最終話の表現は、全てにやられて思わず嗚咽が…
幸まる先生の豊かな想像と言葉を操る力の卓越さ構成の妙に夢中になり、タイトルを知ってから一気に読み進めました。
本当に素敵な作品です!
幸まる先生、ありがとうございます!