「口説くつもりが逆に振り回される」という構図が、読んでいて心地よいほどハマっている。薫が大人の余裕を装いながら璃空の無防備な一言や笑顔にじわじわ追い詰められていく様子が丁寧に描かれていて、もどかしさと愛おしさが交互に押し寄せてくる。レトロ喫茶「humming bird」という舞台の選び方も雰囲気があって秀逸。カットモデルという口実、シャンプー台、夜景スポット、水族館……場面ごとに二人の距離が少しずつ縮まる積み上げ方が丁寧で、気づいたら最後まで読んでいた。甘さの中にちゃんと切なさがある純愛BL。