舞台のモデルはベル・エポック。文化が円熟した時代です。
主人公サーシャの父は天才画家でしたが、“アルテ”という新進気鋭の画家集団による誹謗中傷にあい、失意のまま亡くなり、サーシャも心臓病の妹を抱えて没落します。
そんな崖っぷちのサーシャをアドリアノスキー伯爵が救い、彼の妻の命を奪ったとされる“アルテ”に二人は画壇を利用して復讐を始めます。
女性が画家になるのは難しいドルセ王国で才能を持て余したサーシャは伯爵とともに贋作を作っていきますが、このストーリーは、美とは何か、美しければ贋作でも良いのか、そもそ絵画の価値とは?と突きつけてきます。
果たしてサーシャは復讐を果たせるのか。
サーシャに心を残した元恋人が贋作事件を追っており、彼とのロマンスもどうなるのか、必見です。
わたしの好きなもの。絵画。
わたしの憎むもの。絵画。
わたしの唯一の才能。絵画。
尊敬する父は、同業者に蹴落とされた。
輝かしい名声も万雷の評価も。すべてが地に失せ奪われた。
美術の価値とは何なのか。画家の高名はどこから生まれるのか。絶望の淵に叩き落とされた彼女は絵筆をきつく握り締める。父を追いやり、家族の肖像を粉々にした『奴ら』に復讐するために。
偽物の手で、本物を描いてやる。
次々と生み出される、あらゆる画家のまだ見ぬ作品。それらは話題と、感動と、時に狂気と――――淡い疑念を呼び寄せる。
永遠の時間を閉じ込めた額縁。『良き時代』に投げ込まれる密やかな波紋。
彼女自身の絵が描かれる日は、訪れるのだろうか。