第五章 三分二十秒の沈黙(前編)への応援コメント
今回、かなり緊張感のある回でした。
生ログでは異常を示しているのに、処理を通した中央表示では「NORMAL」のまま。
誰かが改竄したわけではなく、規程どおりに処理した結果として「正常」と「異常」が同時に存在しているのが、とても恐ろしさを感じました。
そんな中で、倉科さんが《R-7》で異常を確認したあと、退避や停止より先に記録を残そうとする姿も個人的にはとても印象に残りました。
作者からの返信
コメントいただき、ありがとうございます!
今回はミッドポイントにあたる回として、第一話冒頭の事故を再演しながらタイムリミット・サスペンスの要素を盛り込むとともに、倉科がなぜ危険へ向かったのかを検証する過程で新たな事実を開示するなど、単なる繰り返しにならないよう設計しました。
被害者である倉科の人間性に一歩踏み込む回でもありましたので、彼の選択を丁寧に汲み取っていただけたことが、大変嬉しいです!
第三章 亀裂の履歴(後編)への応援コメント
今回、かなり「科学捜査小説」を感じました。
十五年前と現在を比較しながらも、「同じ」とは言わず、「対応する位置」「比較できる条件」と、一つひとつ言葉を丁寧に積み重ねていく姿勢が本当に印象的でした。
そして、「事実は同じでも、どう解釈するかで見え方が変わる」という、本作のテーマが改めて伝わってきたように感じます。
仮説を急いで結論へ結び付けるのではなく、一つひとつ検証を積み重ねていく過程そのものが、とても面白かったです。
作者からの返信
コメントいただき、ありがとうございます!
自分で言うのもなんですが、毎話それなりの読書負荷がかかるであろう本作。その主題をいつも丁寧に汲み取ってくださるルート・メモリー様には、本当に感謝しております。
本格ミステリーでは真相解明の場面が花形ですが、本作では、そこに至るまでの調査を単なる段取りにしないよう、特に注意を払っていました。証拠や証言を一つひとつ精査していく過程こそが、本作を駆動するエンジンです。その積み重ね自体を面白く読んでいただけたことは、まさに作者冥利に尽きるもので、大変嬉しく思います。
とはいえ、映画でいうミッドポイントにあたる第五章からは、地道な捜査の積み重ねに加え、タイムリミット・サスペンスの要素も立ち上がってきます。
物語の動きも少しずつ変わってまいりますので、引き続き楽しんでいただけましたら嬉しいです!
プロローグ カサンドラの破断への応援コメント
計器はすべて「正常」を示しているのに、確実に何かがおかしい。
その違和感が少しずつ大きくなっていく描写に、ずっと息を詰めながら読んでいました。
とくに、高槻さんが緊急浮上へ手を伸ばしながらも、自分が承認した試験結果や署名に縛られて決断できない場面が印象的でした。
異常が見えているのに、数字も組織も過去の自分も、それを認めさせてくれない。
そして最後の圧壊は一瞬なのに、そこへ至るまでの迷いと、密閉空間での恐怖があまりにも濃かったです。
作者からの返信
お読みいただき、ありがとうございます!
このプロローグの光景は、深海探査を扱う本作の構想にあたって、真っ先に浮かんだ場面でした。
すべての始まりでありながら、事件の全貌もまた、この場面の中にある――そんなシーンを意図しています。
本作を象徴する幕開けとなるよう、オールグリーンを示し続ける計器と逡巡する高槻、一瞬の圧壊、そして再読時に初めて浮かび上がるミスリードなど、さまざまな要素を込めたつもりでした。
それらを一つひとつ丁寧に受け取っていただけたこと、なかでも、高槻が浮上を決断できない理由まで深く読み取っていただけたことが、大変嬉しいです。
ありがとうございます!
「海淵技術研究所」広報紙への応援コメント
まさか広報資料だけで、ここまで作品世界に引き込まれるとは思いませんでした。
研究所の理念や各施設の役割、探査艇「ピュティア」の開発思想まで、本当に実在する研究機関のパンフレットを読んでいるような没入感がありました。文字の配置がとても綺麗に整えられていて、それがかえって不穏で、背筋が凍りました。
そして、
「設計した者が、試験まで見届ける。
試験した者が、潜航から帰るまで責任を持つ。」
という一文ですが、イメージソングとあわせて、この作品が単なる深海SFではなく、「責任」と「真実」を描く物語なのだと感じました。
作者からの返信
お読みいただき、ありがとうございます!
冒頭から物語へ入るのではなく、まず研究所の広報資料を置くという少し変わった始まりでしたので、「本当に実在する研究機関のパンフレットを読んでいるよう」と感じていただけたことが、とても嬉しいです。
こうした資料から作品世界へ導入する手法自体は、モキュメンタリーホラーなどではお馴染みのものかと思います。ただ、本作では研究所の理念や施設、探査艇の開発背景を本文の会話や地の文で一から説明すると、どうしても相応の紙幅を費やしてしまいます。それならば、作中の広報資料として最初に提示してしまおうと思い、思い切って採用しました。
また、「文字の配置が綺麗に整えられていて、それがかえって不穏」というご感想には、嬉しい驚きがありました。広報資料らしく整然と見せることは意識していましたが、その端正さ自体が不穏さにつながるところまでは、実は作者として明確に狙っていたわけではありません。そのように読み取っていただいたことで、自分でも作品の新たな効果に気づかせていただいた思いです。
そして、ご引用くださった一文は、物語を通して少しずつ意味を帯びていく言葉でもあります。
設計から試験、潜航、そして帰還まで、「責任」がどのようにつながっていくのか。そして、見つけられた「真実」が、どのように記録され、証明されていくのか。
それらが本文の中でどのように描かれていくのか、イメージソングとあわせて、引き続きお楽しみいただけましたら嬉しいです。
丁寧に読み取ってくださり、本当にありがとうございました。
第五章 三分二十秒の沈黙(後編)への応援コメント
おおっ、つまり停止を命じる言葉だけが、最後まで記録されなかった。
これが「三分二十秒の沈黙」の正体ってことですね!
そして最後、中央表示は緑のままなのに、嘉島さんの端末だけが赤くなっていたという事実……。
ここでまた一気に印象が変わりました!
作者からの返信
コメントいただき、ありがとうございます!
この章における「沈黙」とは、おっしゃるとおり、単に誰も発言しなかったことを指すものではありません。倉科を助けるための、停止を命じる一言だけが誰からも発せられなかった――その意味で、一段重い「沈黙」となっています。
そして嘉島の振る舞いも、いよいよ調査側の疑念を強めるものとなりました。しかし、それが果たして何を意味するのか……引き続き見届けていただけましたら嬉しいです!