売れない役者のリチャードは、同じ劇団出身で売れていくトムに嫉妬の念を募らせ、ある日〝ガン・アクションの事故に見せかけて殺害する〟事を計画する。
ミステリーとして〝事故死に見せかけて自分の手を汚さない(或いは真剣/実弾とわざと間違える)〟というものがあり、本作もリチャードの心境からある種の倒叙サスペンスと思うだろう。事実、あらすじにもある。
しかしながら、流れるのは不穏。実はトムは〝気付いて〟いるのではないのか……というものだ。
ネタバレをしないように心掛けてレビューをしているのでここから先は実際に自身の眼で確かめて頂きたいとしか言いようがないが、人間のイヤな部分を詰め込んで煮詰めて魔の弾丸を作り上げた様はゾーッとするぐらいの恐怖を覚える。
全三話の短編(中編か)ながらも非常によく出来たクライムサスペンスである。
皆様も顔を顰めて煙草を喫って「チクショウ、やられた……」となって頂きたい。