この作品を読んでいる間、私はずっと「忘れ物を探す物語」を読んでいる気分でした。
それは物ではなく、自分が本当に好きだったものや、夢中だった頃の気持ちです。
石段の先に広がる景色はどれも美しくて幻想的なのに、なぜか遠い異世界ではなく、子どもの頃に確かに見ていた世界の続きのように感じました。卯花という存在も不思議です。自由で風みたいで、でもどこか懐かしい。読んでいるうちに、颯人と一緒に森を歩いているような気持ちになりました。
特に印象的だったのは、「好き」という気持ちの描き方です。才能や評価ではなく、もっと小さくて柔らかいもの。その大切さが静かに胸へ染み込んできます。
読み終えたあと、窓の外の景色を少しだけ違う目で見たくなりました。優しい風と光、それから忘れていた何かを思い出したい人に、そっとおすすめしたい物語です。
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本作の導入は、非常に静謐で、かつ少し重い空気から始まります。
他者の何気ない一言で「描く喜び」を封印してしまった高校生・颯人。
彼が自分の部屋で、埃を被ったトロフィーと真っ白なキャンバスに挟まれて溜息をつく描写は、すべての人の胸を突きます。
物語の境界線が揺らぎ始めるのは、ゴールデンウイークの朝、
そこで、主人公はある少女に出会います。
少女に客観的な「評価」ではなく、ただ主観的な「好意」を差し出されたとき、颯人の心を縛っていた呪いが解けていく描写が本当に素晴らしかったです。
読み終わったあと、作品の素晴らしさはもちろん、
プロフィールを読んでまだ作者が高校生だということに再び驚かされました。
これからの活躍も期待してます!