深夜の金沢おでん屋で、泥酔したOLが車麩をつつきながら、職場の先輩への怒りをひたすら煮込む。
車麩に出汁がしみるように、怒りも、酔いも、少しずつ彼女の中にしみていく。
その夜、彼女が飲むのは黒霧島の炭酸割り――通称、イモタン。
そんなシチュエーションで、物騒な言葉も飛び出すのに、なぜか笑えてしまう。
荒れているのに、どこか可愛げがある。
そのバランスがとても面白かったです。
作者様が「ジャンルは、純文学。コレが純文学か?」とおっしゃっていましたが(近況ノートにて)、きれいに整えられない人間の怒りや欲やみっともなさを、表現されているところに純文学的な手触りを感じました。
居酒屋のカウンター、テレビ、酒、おでん、仕事の鬱憤。
そこに、ふいに差し込む誘惑。
美味しそうな描写もあいまって、湯気と酔いと危うさがあとを引く、クセになる短編でした。
※今、キャッチコピーに気づいて、笑いました(笑)