きっかけは、作者様がTwitterにあげていらっしゃったイラストでした。アネモネとヘリオトロープのコントラストがとても綺麗で、どんなお話なんだろうと開いたのが最初です。当方、これまでBLというジャンルを好んでこなかったのですが、見事にガツンと価値観をぶん殴られました。
絶望BLという言葉の通り、確かにバッドエンドです。
ですが、単なる後味の悪い終わり方とは全く違いました。読後もずっと頭の隅っこに彼らが居座り続けて、「どうすればシノアは救われたんだろう…」と、頭の中で救済ルートを延々と演算してしまうような、深く考えさせられる凄まじい引力があります。
でもいいんです、この終わり方で完璧だと思いますし絶対にいじっちゃいけません…(と言いつつ脳内では略)
シノアも、恐らくローランも救われなかった。でも皮肉なことに、それ以外の人間にとってはそれが救済でもあるんですよね。二周ほど読ませていただいたのですが、読み終わるたびに「じゃあ、一体どうすればよかったんだよぉぉ…!」と激しく心を持っていかれています。一生忘れられない素晴らしい作品に出会わせていただき、本当にありがとうございました。
この作品を読むにあたり、まず「アネモネ」と「ヘリオトロープ」の花について検索してからお読みいただけるとより世界が伝わると思います。
皆様が絶望絶望と仰る中で一視点から見ると「絶望展開」ですが、別視点から見るとこれは救済にもなるのです。
花ことばを検索してから読むとああ!!と思いますが、どちらの花も主人公くんを示しております(このあたりはネタバレになりそうなので敢えて伏せ)
そして最初に出てくる強烈な忘却の川。これを忘れずにお願いします。
あと、こちらの作品をBLというだけで離れないで欲しい。
狂おしいほど人を求めるゆらぎと、真実を知った時の絶望感、愛する人間を裏切りながら仮面をかぶりもう一つの自分を演じる主人公くん。
この完成されたヒューマンドラマは見てて心揺さぶられる部分が多いです。
お耽美シーンになりそうな部分はしっかりとイメージ脳内補完できるのでご安心くださいませ。
敢えて華と表記されているところ、一生「忘れなくさせる」記憶の植え付け。
そして皮肉となった川。彼が絶望に堕ちた時、選んだ道はやはりそこしかなかったのか。
非常に考えさせられる部分が多く、ifの展開部分が3か所ありましたが、どこに転がってもメリバかバッドにしか向かわないのはこの国同士の確執と見た目の差別っての大きくて、この当たりも見た目で判断していじめはダメだよ、と慈悲の心で見つめたくなります。
二人の男が主人公くんに対してそれぞれ違う目線で彼を見ておりますが、彼らの視点及び、エピローグ部分で語られるその後の彼らの生き方がずっしりと腑に落ちます。
最後のシーンはまるで一枚の映画ワンシーンを流しているようです。
BL初心者でも楽しめる(絶望なのに楽しむ?)情景と心理面の揺れ動きと葛藤にヒリヒリします。
所々語彙が消失するくらい好きなシーンに抉られました。ちょうど読みやすいストーリーの量なのですっと入ります。美しい残酷な描写をたっぷりとご堪能くださいませ。