つらい過去を共に耐えてきた冬吾と春薫が、異世界で離れ離れになり、それぞれの場所で生きる力を得て、再び出会う物語です。
序盤はかなり重い背景がありますが、だからこそ二人が再会した時の喜びや、その後の穏やかな生活がとても尊く感じられます。
冬吾は冒険者として、春薫は光の癒し手として力を得ていきますが、この作品の魅力は派手な強さだけではありません。
火を起こす、料理をする、畑仕事を手伝う、村で暮らす。
そうした生活の描写が丁寧で、二人が異世界で少しずつ幸せの形を作っていく過程に温かさがあります。
春薫が「聖女」ではなく一人の女の子として生きたいと願い、冬吾もまた「兄」としてだけではなく、一人の男性として彼女と向き合っていく。
その関係の作り直しが甘く、もどかしく、思わず応援したくなります。
重い過去から始まりながらも、読後には優しい温度が残る作品です。
また、作者さまの情緒を拾う筆が本当に秀悦で、ぐっと世界へ引き込まれる場面の見応えは圧巻です。
冬吾と春薫がこれからどんな暮らしを築いていくのか、楽しみに見守りたいです。
おすすめですよ!!