「ガルドの猛き姫王」と呼ばれるアルマが婿に迎えたのは、大国ルナリアの皇弟シグナス。
伴侶に興味などないはずの彼女が、美貌のあまり思わず動転してしまう冒頭から、二人の距離感がじれじれと心地よく描かれる。
幻滅してやろうと意気込むアルマのひねくれた気質と、過去に傷を抱えながらも穏やかに寄り添うシグナスの優しさが絶妙に噛み合い、触れ合う手や言い訳の重なりが恋の予感を静かに積み重ねていく。
男女逆転の構図が新鮮で、姫王の強さと不器用さ、貴公子の美貌と繊細さが互いを照らし合う展開は魅力的。
じれじれしつつも甘さが滲む、溺愛ロマンスの幕開けです。
十四で即位し、内乱を制した若き女王アルマ。
帝国の皇弟との政略結婚が決まり、顔合わせのために回廊を歩く――儀礼をこなすだけの、退屈な一日になるはずでした。
そうはならないところから、この物語は始まります。
まず言っておきたいのは、この作者様は掛け合いが抜群に上手いということ。宰相ルシャードと近衛騎士団長レオン、この二人が喋り出した瞬間から画面が明るくなります。
やりとりだけで、口うるさい男と物怖じしない男の性格が同時にキャラが立ち、しかもその応酬に女王がうんざりしている構図まで見えてくる。
キャラクターが作者の手を離れて勝手に動いているタイプの生きの良さです。女王が「花婿に会うより二人と話していたかった」と思ってしまうのも無理はありません。
とりあえず3話まで読んでみて、続きを読むかを判断したら良いでしょう。
政治と初恋、威厳と可笑しみ。その両方を軽やかに行き来する筆致に、続きを追わずにいられません。