東京の投資会社を辞め、仙台で暮らし始めた青年・九条晴臣。寂れた神社で『残り福』のお札を拾ったことをきっかけに、不思議な幸運に恵まれるようになる。社会の片隅に忘れ去られた残り物から一攫千金を掴んでいく成り上がりサクセスストーリーです。
『残り物には福がある』という、誰もが知ることわざ。本作はその言葉通り、残り物から大きな可能性を引き出していく展開に夢があります。
宝くじ売り場の売れ残り、閉店セールで片隅に置かれた古びた道具、倉庫でほこりをかぶっていた用途不明の箱など、一見価値がないように思える品々が、『残り福』の導きによって思いもよらない価値を生み出していくストーリーに毎度驚かされます。
単に主人公が都合よく大金を手にするだけの物語ではありません。「世の中に不要な物はなく、不要な人もいない」という温かなメッセージが込められている。人も物も最後まで見捨てず、その価値を信じ続けることの大切さを教えてくれます。
新しい商品や流行が次々と生まれる現代で、私たちは目新しいものばかりを追い求めがちです。しかし、本当に価値のあるものは、見過ごされてきた場所にこそ眠っているのかもしれない。そんなことを改めて考えさせられました。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)