第51話 おじさん、色々考える

 一度時空戦艦の艦橋に戻ってから考える。そういえばさっきまで海底に居たけど、いきなり戻ってきても良かったのだろうか? 体にかかってた圧力がいきなり変わるわけだが、グロい死に方とかしない? 嫌な想像をして体が震えた。


 戻ってきた俺に対しアイが怪訝そうな顔をしていたので思っていたことを伝える。すると彼女は肩をすくめた。な、なんか呆れられてる? 怖いものは怖いでしょうが。


「その問題があるのなら、あなたが、戻ってきてすぐその体はグロいことになってますよ。ですが、問題ないでしょう? 心配なら健康状態も調べましょうか?」

「健康診断ができるのは魅力的だね。今度頼むよ」

「承知いたしました。ヨータ様が心配する気持ちも分かりますが、時空戦艦の技術を信用してください。今のあなたは超人で、超技術のスーツを来ているのです。海底の水圧程度は平気です」


 言いきってくれるのは頼もしいね。さて、水圧の問題はないと分かったところで、今後の計画を立てるとしよう。


「アイ、今日の探索では第二層を目指すつもりだった。が、ミスリルが発見された今、より詳しく第一層の探索をおこなうのも悪くないかもしれない」

「そうですね。私もそう思います。それに水中での動きにもっと慣れてから次の層を目指すというのも、悪くないかと思います」

「目標を変更しようかな……今日は水中に慣れることと、新たな鉱脈の探すこと。この二つを優先したい」

「悪くない考えかと」


 アイに賛同してもらえると嬉しい。ついでに、さっきから考えていたことをもう一つ聞いてもらおう。


「ところでアイ。鎧……というかパワードスーツの酸素供給についてなんだが、こういうプランは実行できるかな?」

「どのようなプランでしょうか?」

「こう……時空戦艦から直接酸素をスーツに供給するみたいな……俺や採掘マシンとかを海底に送れるんだし、できるんじゃないかと思ってね」

「……なるほど。ヨータ様、それは良い考えです。次の探索から、そのプランを実行しましょう」


 お、できるんだな。それじゃあ、次の探索は、より長く水中に潜れそうだ。ダンジョン内に広い空間があると分かった今、そこを調べるだけなら時空戦艦を進入させるプランもある。が、今回は俺が水中に慣れる目的があるからね。それは明日以降のプランだ。


「良いね。次の水中探索も楽しみだよ。早速、次の探索……と言いたいところだけど」

「ふふっ。先程倒した魔物を食べてみますか?」

「ああ、実はさっきから味が気になってて」

「承知いたしました。すぐに魔物の調理をおこないます」


 パワードスーツを脱ぎ、食堂へ向かう。しかし、あれだな。水中から戻ってくると艦内が濡れてしまう。水中から戻る専用の部屋も作っておくべきかもしれない。


「ヨータ様、ミズモグラくんが採掘したミスリルは今も時空戦艦の倉庫へ送られています。これらの鉱石はどのように扱いましょうか?」

「ミスリルなー。一部は俺たちで使うとして、残りは会長に買い取ってもらうか。それとも、何か良い使い方あるかい?」

「そうですね。例えば時空戦艦をキラキラにデコレーションするとか……」


 アイさんや、それは本気で言っているのかい? あ、彼女の目がキラキラ輝いている。彼女、結構その気みたいだ。


「ま、まあ時空戦艦の一部にミスリルを使うのは良いかもね?」

「他にも、光線兵器の改造に使ったり、ヨータ様装備を新調したり、使い道は様々です。ミスリルは綺麗で良いですよね!」


 力強く力説するアイ。彼女、宝石とか好きなんだろうか。などと思い、日頃の感謝を伝えるために、ミスリルをプレゼントするのも良いかもしれない。なんて考えたり。


「アイ、一部は残しておくとして、ミスリル鉱石をどう扱うかは君に一任するよ」

「一任、ですか」

「うん、ミスリルはアイが自由に扱って良い」


 アイの動きが一瞬止まる。横を歩いていたのに、俺が数歩前に出てしまった。そんなに驚いてもらえたのなら、少し嬉しい。俺は立ち止まり、アイに言う。


「もう一度言うよ。採掘したミスリルは一部残す。残りは君の好きにして良い」

「なるほど……ふふっ。つまり私へのプレゼントですね」


 俺の言葉に、アイはからかうような調子で答えた。俺が「そうだよ?」と即答すると、今度こそアイが固まった。彼女のこういう反応を見られるのは新鮮で面白いね。


「さ、速く食堂へ行こう。ダイオウグソクムシの魔物の揚げ物。どんな味か楽しみなんだ」

「……お、お任せください! 腕によりをかけて調理いたします」


 その後、俺は食堂でソッキラスの揚げ物を口にした。揚げて塩をかけただけのシンプルな料理。これが結構良い感じ!


 エビやカニの味を濃縮したような味。うま味と甘味が濃厚で、塩さえも要らないかもしれないと思えるほどのものだった。


 さあ、エネルギーも補給したし、もう一度水中へ向かうとするかな。艦橋に戻りパワードスーツを着込む。


「アイ。今のうちに、俺が水中から戻ってくる時専用の帰還場所を考えておいてくれ。それじゃあ、採掘ポイントまで転送を頼む」

「承知いたしました。ヨータ様、グッドラックです」


 休憩と補給を終え、俺は再び海底ダンジョンの第一層へ向かうのだった。

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