第31話 頭の上に乗っていい?
「うわぁ、目的地もいっしょなんですね、うれしい」
大げさな安佐くん。何が「うわぁ」よ。わざとらしいんだから。
他のメンバーは白い目を向けてるの。でも安佐くん動じない。向こうのバスでいっしょに行きませんか、熱心に誘うの。
浅利先輩も「いーけど~」くねくねしてる。まんざらでもないって言うんでしょ、こういうのって。合唱団のときも安佐くん、浅利先輩に何かと声かけてたもんね。
「代わりにこれ置いてくから」
代わりのこれ、つまり
アリスはくねくねと君乃さんをさそう。
「いっしょに行こう」COCOも君乃さんの手を取る。すると瀬野くん原田くんもそばに来て「いっしょに行こうよぉ」だって。
さすがはホテルの探検隊のメンバーね。
君乃さん、にんまり笑う。機嫌直してくれたかな。
結局、行くところは同じだもんね。
「なんだか風紀が乱れてるね。アダルトだね」
ずみちゃんも苦笑気味。肩をすくめてる。
小石川先生もチラリと目を向けて「別にいいよ」の一言、笹沢さんと小声で話し込んでいたからね。こちらもアダルトかしら?
「ね~ね~
アリスは頭の上が大好き。
「君ちゃん、君ちゃん」
アリスは君乃さんにグネグネと絡みつく。「ひえ~」悲鳴を上げながらも笑っているから、それほど嫌がってはいないよね。
とはいえ、頭はやめてね。「テヅルモヅル〜」
何が変なのか。
COCOは考えているの。そろそろ種明かし、答え合わせがあるのかな、なんて小石川先生の方をちらちらと見るCOCOなの。
お姉さまにはわかる? 何が「
惑星のことよ。COCOは見た目が可愛いからそうは思われていないみたいだけど、リケショなのよ。理系の小学生。
COCOはずずずずっと……違和感を覚えているのよ。バスは朝の暗い道を進んでいる。暗くても窓明りや街灯、表示パネルなどなど、光るものが多いから息はつまらない。ごく普通の街の夜景。暗いなら明かりをつければいい。
明るい昼間がなくても人は生きていける。
「ねえ、COCOちゃん」
さんざん君乃さんに悲鳴を上げさせていたアリスが、ふと声をかけてきた。「そろそろ先生、その話を始めるみたいよ~」
もうひとつの答え合わせ。
アリスは「その話を」って言ったわ。どの話かCOCOには的確にわかるよ。COCOにはアリスの心が読める。いいえ、逆なのよ、アリスには心が読める。みんなの。
アミ族の心も。だからアミ族の言葉をアリスは通訳できるのね。
この子はテレパスなのです、なんてことさらに紹介はされなかったけど、突然みんながセッションを始めたりしたのもアリスが心を結んだからなんだ。アリスにはっきりとその意図があったかはわからないけれどね。
たぶん。
アリスにはそれが普通のことなので、何かをしたなんてアリスも思っていないんだ。
たぶんね。
アリスはそっと、ひとの心と心を結びつけることができる。ひとと異星人の心もね。
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