第6話 小石川先生でも見晴らしがいい

 もちろんそれがモップではないことをCOCOは看破していました。見ているとニョロリ、ニョロリ、動き続けている。普通モップはこういう動きはしないもんね。これをモップだと思い込む人の方がユニークな感性の持ち主と言えます。

「あ、これ、気になってました?」小石川先生、照れ隠しのように笑う。「あたしも気になってました。おい、君」

 先生はボールを蹴るような動きを……両足をまとめて拘束されているので、らしい動きしかできない。

「ここは自分で自己紹介する場面だよ、ほれ」

「そうですか、え~と」モップはいったん緩みかけたけど「先生、失礼いたします」触手を器用に動かして、先生の身体をはい上がり、頭の上に停まった。どういう動きをしたのか、はっきりわからない……。


「みなさん、はじめまして。高い所から失礼します。とはいえ、それほどは高くないですね」

「おい……」小石川先生がツッコむ。「余計なこというな」


「有名な小石川先生の講義が受けられると聞き、地球の新鋭艦スターフリーに参りました」

 蠢く天然パーマ、先生の顔は見えない。

「アリスと申します。テヅルモヅルの惑星出身。いわば不思議の国よりの訪問者。みなさまと机並べて大いに勉強したいと思っています。よろしくお願いします」


 拍手ぐらいするべきなんでしょうけど……呆然として、あたしたち黙っていた。反応が鈍くて悪かったわね。

「あれ、受けないな」

 とアリスさん。

「ジョークが分かりにくいんだよ。降りてよ」と先生。

「でも見晴らしがいい。高くはないけど」


 すぐにみんな、我に返ったけどね。

 宇宙の知的棘皮きょくひ生物(ヒトデ)なんだって。手がいっぱいあるから同時にみんなと握手できる。

 謎の転校生。

 新しいクラスメートなのです。

 

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