飾らない言葉で綴られる、記憶と空想のスケッチ。
子供の頃に見上げた空の青さや、古い辞書をめくった時の高揚感が、まるで今隣で語りかけられているかのような温かさで伝わってきます。
宮沢賢治やマザー・グースにルーツを持つというその筆致は、どこまでも素直で、流れるようなリズムがとにかく心地よい。
日本語という言語を心から愛し、一文字ずつ大切に置くような誠実な姿勢が、読み手の心に穏やかな風を届けてくれます。
自分の「好き」を信じて、深い沼の底へと一歩ずつ歩んでいく。そんな書き手の純粋な熱量に、静かに、けれど強く励まされる一作です。