第5話
担任が教卓を叩く音で、ようやく教室の喧騒が静まり返った。
「はい、席に着けー。HR始めるぞ」
華は不満そうに、でも僕の腕を最後にもう一度だけぎゅっとしてから自分の席へと戻っていった。亜紀も「助かったぁ……」と胸をなでおろしながら、そそくさと移動する。
僕は自分の席に座り、ふぅと深く息を吐いた。
……隣の席の透が、まだ何か言いたげに僕をジト目で見ている。
「なんだよ、透。前向けよ」
「……いや、お前のその『全人類から敵視されてる』みたいな被害妄想、マジでどうにかしたほうがいいぞ」
「妄想なもんか」
僕は小声で返し、視線だけで教室の女子たちをなぞった。
案の定、僕らを見ていた女子たちの何人かが、慌てて目を逸らしたり、顔を伏せたりしている。
(ほら見ろ。僕が睨み返した(と思ってる)から、みんな気まずそうにしてるじゃないか……)
実際には、彼女たちは「空くんと目が合っちゃった!」と悶絶しているだけなのだが、僕の脳内フィルターはそれを「チッ、また透とつるんでやがる」という舌打ちに変換してしまう 。
「お前がイケメンすぎるせいで、僕までとばっちりなんだよ 。……というか、放課後の勉強会、本当に行くのか?」 「あいつが言い出したら止まらないだろ 。それに、お前の家なら亜紀の監視もしやすいしな」
透はそう言って笑ったが、僕は机に突っ伏したくなった。 華の「空くん症候群」に加え 、透への「敵意」を向けてくる女子たちの視線。そして放課後の強制イベント。
(……このままだと、六月が終わるまでに僕の精神がもたない気がする)
窓の外では、梅雨入り前のどんよりとした雲が広がり始めていた。 四月のあの入学式の日、透を助けた時の自分に教えてやりたい 。 「そのお節介が、最高に最悪で騒がしい高校生活の始まりだぞ」って。
「じゃあ、まずは一時間目の現国からだな。空、教科書忘れてないだろうな?」
「……それくらい大丈夫だよ。華じゃあるまいし」
僕の日常は、こうしてまた一つ、厄介な予定を抱えたまま進んでいくのだった。
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授業中の様子をもう少し書こうと思いますのでお勉強はお預け♡です!
何の勉強でしょうか?保険の実技ですかね?
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