本作は、因習村ホラーとしての不気味さに加え、裏切られた感情がじわじわ変質していく過程が非常に印象的でした。
特に秀逸なのは、“直接的な残酷描写”だけに頼らず、村全体に漂う静かな異常性で恐怖を作っている点です。高い土壁、車椅子の女たち、鋏の音――そうした断片的なイメージが、読む側の想像をじわじわ侵食してきます。
また、単なる復讐譚では終わらず、「愛とは何か」「償いとは何か」を歪んだ形で突きつけてくるのも強烈でした。
因習村ホラーや後味の悪い怪談が好きな人にはかなり刺さる作品だと思います。読み終えた後、“鋏の音”だけが頭に残ります。