第50話
テントの中に踏み入れた途端に手首を掴まれて広く逞しい胸へと引き寄せられた。
外気に晒されて冷えた身体が温かさに包まれほっとひと息つく間もなく、顎を長い指で捉えられ熱い唇が強引に押し当てられる。
一瞬にして深々とキスされ犯人はどっちのクソガキだと腹を立てる。嗅覚を研ぎ澄ますと甘さをほんのりと含んだ清涼感がある柑橘系の匂いがした。それはジュランが放つ香りだ。
ちなみにランジュは最初は蜂蜜のような甘い匂いが濃いが段々と生姜のようなぴり、としたスパイスをきかせてくる。
どちらも不本意だが嫌いじゃない。
悪臭じゃないから、困る。
「んっ、…んん」
二人の王子は自分からキスをしない、はずなのに。早々に唇を塞がれ呼吸困難になる。
離れようとジュランの身体を押すがびくともしない。
「ユイ、口を開けろ」
低く掠れた声で命令される。
「……いや、だ」
「奪われるのが好きなんだな…いいぜ。強情な女から奪うのは嫌いじゃない。俺がすぐにとろとろにしてやる」
歯を噛み締め太く強引な奪うことに慣れている男の熱い舌を入れられるのを阻むが、後ろに立ったランジュの指が胸元や太股を撫でて無駄に器用な手付きで確実に私の武装を一つ一つ取り除いていく。
下着も外され心もとなさに震えた。
ランジュが私を無防備にすると柔らかく胸の膨らみを揉みうなじをねっとりと舐めあげる。
「は、んっ……んぐ」
くすぐったくて思わず声を洩らすと唇が開いて、ジュランの舌の侵入を許してしまう。
角度を変えて舌を絡めて吸われる、巧みなキスで全身が甘く痺れる。きゅん、と奥が疼いた。
「ジュランのキスで感じちゃったんだ、…ユイのおんなのこの部分濡れちゃってるよ」
ランジュがうなじに口づけて顔を私の耳元に移動させ、耳の穴に舌をねじ入れる。手は前に回されて恥ずかしい割れ目に指を滑らせた。蜜を滲ませ始めるのを指を小刻みに動かしてくちゅ、と濡れた音を鳴らして教える。
「や、…だ」
恥ずかしくて堪らず顔に熱が集まる。
「ねえ、ジュラン。いつまでユイの唇を独り占めするつもり?僕もユイとキスしたいんだけど」
不満そうなランジュの声。唾液の糸を引かせながら漸く濡れた唇が離れる。はあ、と大きく息を吸い込むが直ぐに今度はランジュの唇で塞がれた。
「立ってやるのも何だし、ベットに行こうぜ。ユイが自分からテントに入ってきたことだし…ゆっくり可愛がってやる」
立ち話も何だしお茶でもするか、という日常会話をするような何気ない口調でジュランが言った。
ジュランのいい方だと私がまるで、エッチな事をして欲しくてテントに入ってきた変態女のように聞こえる。
赤い顔で睨むとジュランは笑みを滲ませた顔で首を傾げた。
「俺の剣を手入れをしてくれるんだろ?…お前の下と上の鞘に収まりたい」
私の手を掴むと自らの股間に導く。大きく膨れて脈打っている。熱く太く長いジュランの自身を押し当てられる。言葉と強制的に触れさせられているあれで意味するものが漸く分かった。
「へんたい、…誰がお前の鞘になんかなるか!」
剣とはナニか!と私は怒りを爆発させ怒鳴った。
「…っ、ちょっとやめてよ。僕の剣がなえちゃうでしょ」
ランジュが肩を震わせて笑っている。そんなナマクラな剣など萎えて折れてしまえばいい。ランジュが笑いのツボに入ったらしくキスを続行するのが困難になり、唇が自由になった。
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