春香の些細な嘘。春香本人からすれば、結構大真面目な噓ですが、颯太が感覚と違和感から見抜く展開にリアリティがありました。
レモネードが象徴していますが、「ちゃんと終わらせたかった」という春香の見栄や未練――人間臭さが魅力です。
颯太は責めずにちゃんと言葉を受け止めたうえで「――のために来たんだろ」と言いづらいことを代弁してきちんと整理してあげる。
あの一言で、この話の見え方がはっきりまとまっていましたね。
お互い昔の気持ちを抱えたままなのに、今さら何かを始める話ではなく、終わらせ方の話として着地するのが印象的です。
レモネードの味も最後まで効いていました。
甘さの奥に酸味や苦さが残る感じが、そのまま二人の関係みたいで、派手ではないのに読後に長く残る作品でした。