魔力がなくても
やれることは山ほどある──
その言葉は
蔑みの中へ放たれた小さな火種
生まれながらに
〝無価値〟と断じられた少年が
剣を握り
傷つきながら自らの価値を刻んでゆく
その歩みを支えるのは
眩い力だけではない
寡黙な庇護
黒い翼の温もり
騒がしい仲間たち
湯気立つ食卓──
苛烈な戦闘の合間に置かれた
その優しさがあるからこそ
白い研究所の冷たさと
世界の歪んだ理がいっそう深く胸を抉る
軽快な掛け合いの奥では
救済と支配
愛と執着が静かに輪郭を変え
善意さえ刃へ変わってゆく
炎を宿す剣閃の
鮮烈さ以上に忘れがたいのは──
少年が何度倒れても
他者を守ろうと差し出す
魔力なき、その手の熱