読み終えたあと、心の中に静かな余韻が残り、思わず涙がこぼれました。
私は吃音の当事者ではありません。
けれど汐里が抱える伝えたいのに伝わらない苦しさや、周囲に理解されない孤独に何度も自分の経験を重ねました。
私は少しだけ世界を深く受け取りすぎてしまう心を持っています。
人の表情や言葉の温度に敏感で、時には生きづらさや孤独を感じることもありました。だからこそ、汐里の伝えたいのに届かないという痛みが、まるで自分のことのように胸に響きました。
この物語は吃音だけを描いた作品ではなく、「誰かに理解されたい」「ありのままの自分で生きたい」と願うすべての人に寄り添ってくれる物語だと思います。
湊くんが汐里の「3秒」を急かさず待ち続ける姿に何度も心を動かされました。
最後にはそれが欠点ではなく、二人をつなぐ大切な時間へと変わっていく展開が本当に美しかったです。
声の聞き取りやすさではなく、そこに込められた想いこそが人の心を動かすのだと教えてくれる、温かく優しい一作でした。
【レビューコンテスト応募】
吃音の当事者で、言いたいことを言い始められるまでに「3秒」かかる主人公、汐里
クラスの中心人物に見えて、実はその役割で本当の自分を封じ込められていた楓馬
それぞれ、持っているものと届けられないものが違っていたからこそ、そして相手を尊重したからこそ「助け合える」関係が意図せず始まったこと。
そんなリアリティもありつつ、2人の未来にも希望が持てる結末になったことに心が大きく動かされました。
まずは先入観を捨てて、ただ2人を受け止める気持ちで読み進めてみてください。
そして、最終話まで読み終わったらもう一度、タイトルに目を向けてみてください。
きっと、少し違った景色が見えると思います。