創作という孤独な営みの中で、たった一人の理解者を失う寂しさ。
本作は、画面の向こう側にいたはずの「体温」が、さよならの言葉と霧散していく瞬間の喪失感を、あまりに繊細に、そして美しく描き出しています。
通知欄に名前がある日常が、いかに執筆の背骨となっていたか。
短い言葉に込められた敬意が、いかに書き手の魂を支えていたか。
その支えが消える。
思考が停止し、スクロールする指だけが動く描写には、現代の表現者が抱くリアルな恐怖と哀しみが素直に純粋に書かれていて胸を打つ。
しかし、この物語の真髄は、届かなくなった言葉を「後悔」で終わらせず、再び真っ白なページを開く「執筆」へと昇華させたラストにあります。
「いつか本屋で」という、とある読者の祈りにも似た期待。書き続けるための血肉へと変える姿には、表現者としての覚悟が宿っています。
もう届かないかもしれない。それでも書き続ける。
さよならの代わりに、執筆を。
それを証明するかのような、この宣言。
作者さんの、次の作品も、期待を胸に待ちたい。