波も風もない白一色の湖、静かに舞う魂の蝶、そして自死した者の心をただ肯定し受け入れる冥のスタンス。
どこまでも静かで、透明で、それゆえに哀痛な世界観が非常に美しく描かれています。
傷つき絶望してやってくる死者たちの心を、静かに溶かしていくプロローグとして完璧な完成度でした。
特に良かったのは「意味を足さずに、ただ受け取る」冥のやさしさ。
誰にも言えず、限界まで一人で抱え込んで溢れてしまったユイの苦しみを、冥は否定もアドバイスもせず、オウム返しのようにただ肯定して受け止めます。
この「怒らない、責められない」という静かな肯定が、現世で全否定されてきたユイにとってどれほどの救いになったか、その対話のテンポが非常に繊細で引き込まれます。