いちばん印象的だったのは、
後半で颯太が「俺は――とは一言も言わなかった」と返すところでした。
前半では、春香と一緒に読者も失意のどん底に沈む中で、この一言で見え方がふっと変わる感じがとても良かったです。
実はずっと「春香の人生を応援する」という形のままだったのだと分かって、じわっと来ました。
レモネードの味の変化も印象的ですね。
前半の「甘すぎる」レモネードは、春香にとっての未練や痛みの後味そのものみたいで、後半の酸味の立った爽やかな味は、同じ相手との再会なのに関係の見え方が変わったことをしっかりと感じさせてくれました。
タイトルの「甘みと酸味の間」も、読後にしっくりきます。
桜も、満開ではなく二分咲き三分咲きくらいなのが未熟な二人を表していて、関係をイメージしやすいです。
止まっていた春が、ようやくまた動き出す感じがして、やさしい余韻の残る作品でした。