村山槐多という人物は大正期に活動した夭折の画家と知られる。
名を聞いてピンとこない方もその絵画の異様な迄の陰影の濃さや肉感的な生々しさは眼にも脳にも残るだろう。
一方で小説や詩ものこしている。その内の一つが今作のもとになる小説『廃邑の少女』だ。
残念ながら途中で描写も明らかに先細り未完成で終わっている。
それを筆者の高野氏が補作という形、没後百年以上経つのでパブリックドメインではあるが二次創作で物語として形成した。
本作はざっくりと言えば〝怪異に魅入られる〟話である。穂日が魅入られた歌の少女を追って……と。高野氏もそこを指摘している。
前述の通り槐多の未完の作品であり、それを補うのは、原作を損なう事なく、人物を、風景を、言葉を、そして物語を〝このような結末だったであろう〟と想像を巡らせるエネルギーが必要だ。なおかつ、自己満足で終わらずに、だ。
槐多の万年筆であればここは違っていたのかも知れない、であったり、槐多の脳裏に浮かんでいたのは一体何だったのだろうというものもある。しかしながら、それらはあって当然のもの。違和感をなるべくなくしたのが本作だ。
『薄れていった影のもとに灯りを向けて、影の輪郭を濃くする』とも評する事も出来るが、『化石の復元』でもあるなと感じる。
何れにせよ興味深く、面白い作品である。是非とも御一読頂きたい。