最後に分かるレモネードの味の真実。
そこから前半のやり取りを振り返ると、全部がやさしい「嘘」だったのだと分かって、その切なさに心動かされます。
屋上での再会は穏やかなのに、読んでいる側には少しずつ「これはただの別れでは済まないな」という空気が積もっていくのが良かったです。主張自体は柔らかいのも印象が優しかったです。
とくに、颯太が医大を目指した理由。最後にそれでも気持ちを伝えないと決める芯の強さが印象的でした。
伝えないことまで含めて春香の未来を信じようとするお話ですね。
桜もまだ蕾のままで、今は間に合わなくても、この先また咲くものとして置かれているのがこの結末に合っていました。
静かな文体のまま、やさしさと痛みの両方が残る一編でした。